映画「
風立ちぬ」をカミサンと観てきました(^^)
普段はアニメにまったく興味が無く、普段は「宇宙戦艦ヤマト」くらいしか観ないワタクシがアニメ映画を観るのは、2008年8月に公開された「
スカイ・クロラ The Sky Crawlers」以来。宮崎アニメに至っては、
映画館で観たことがあるのは1989年の「魔女の宅急便」だけ。テレビで放映されたものを含めても、実際に観た宮崎アニメの最新版は2004年の「ハウルの動く城」と、宮崎アニメにさしたる思い入れは無いんですよね(^_^;)
そんなワタクシが何故この映画を観に行ったかって、そりゃ決まっているじゃないですか。
主人公があの零戦の設計技師である堀越二郎さんだからですよ! それに作家の堀辰雄がミクスチャーされているって、いったいどんな堀越さんになっているんでしょうか。堀越二郎さんが苦労の末に零戦を生み出したことや、「風立ちぬ」の粗筋も知っている以上ストーリー展開はある程度予想がつきますが、果たしてどんな人物像を生み出してくれるのか、宮崎駿監督のお手並みを拝見するとしようじゃありませんかッ(^o^)丿 ←なんてえらそうなワタクシ
風立ちぬチェック:
宮崎駿監督がゼロ戦の設計者・堀越二郎と作家の堀辰雄をモデルに、1930年代の日本で飛行機作りに情熱を傾けた青年の姿を描くアニメ。美しい飛行機を製作したいという夢を抱く青年が成し遂げたゼロ戦の誕生、そして青年と少女との出会いと別れをつづる。主人公の声には『エヴァンゲリオン』シリーズなどの庵野秀明監督を抜てき。ほかに、瀧本美織や西島秀俊、野村萬斎などが声優として参加する。希代の飛行機を作った青年の生きざまと共に、大正から昭和の社会の様子や日本の原風景にも注目。
ストーリー:
大正から昭和にかけての日本。戦争や大震災、世界恐慌による不景気により、世間は閉塞感に覆われていた。航空機の設計者である堀越二郎はイタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬し、いつか美しい飛行機を作り上げたいという野心を抱いていた。関東大震災のさなか汽車で出会った菜穂子とある日再会。二人は恋に落ちるが、菜穂子が結核にかかってしまう。
※シネマトゥデイより先日友達と呑んだときにこの映画を観に行くつもりだと言ったらですね、その友達は「
宮崎アニメはきちんとした声優を使わないところが気に入らんのだ」と力説しまして。なんでもアニメ声優さんではなく俳優さんを使うのが気に入らないんだそうですよ。なるほど、そういう意見もあるのか。ワタクシなんてそもそもアニメを観ないせいか、声を声優さんがやろうが俳優さんがやろうが、
別に誰でも良いんですけど。誰がやろうと、すぐに役柄に集中できますし(*^^)v
そんなワタクシが考えても、主人公の堀越二郎さんの声が
声優でも俳優でもない庵野秀明監督ってのはどーなのかしら? そりゃこの人が名作の誉れ高いエヴァンゲリオンを作った人だということは知っていますが、ワタクシはソレを見たことがないのでそれから何らかの評価を導くことができません。でも、ワタクシが大好きなあるマンガにこの庵野秀明さんが良く出てくるんですよ。そのマンガとは島本和彦氏の「
アオイホノオ」(^^)/
↑島本和彦著「アオイホノオ」1巻(小学館)。その面白さに抱腹絶倒。現在10巻まで出ております。40代のマンガ好きには全力でオススメ。
表紙をめくると「この物語はフィクションである。」とドでかいフォントが登場するこのマンガは、この島本和彦さんが大阪芸術大学に在学してマンガ家を目指している頃を舞台にしているのですが、なんと島本和彦さんと庵野秀明さんは同級生なんですよ。そしてこのマンガでは、
庵野秀明さんは稀代の才能を持つ奇人変人として描かれているんです。だからワタクシにとって庵野秀明さんは稀代の才能を持つ奇人変人なんです。しかもこの映画のCMには必ず庵野秀明さんが出てくるものですから、アタマの中では庵野秀明さんはヒゲを生やした奇人変人で確立されているのです(*_*)
そんな人が、この堀越二郎さんの声を演じているんですよ。堀越二郎さんが喋るたびに、堀越ニ郎さんとヒロインの菜穂子さんのラブラブなシーンのたびに、ワタクシのアタマの中にヒゲを生やした奇人変人が登場してきます。
あああ、画面に集中できないッ。しかもこの堀越二郎さん、どんな基準で判断しても声の演技が絶望的です。他の登場人物は俳優さんが担当しているので、会話の時などは落差が激しすぎ。何故宮崎駿監督はこの人に白羽の矢を立てたのか見当つきませんし、宮崎監督のインタビューを読んでも腑に落ちません。
あああ、画面に集中できないッщ(゚Д゚щ)↑宮崎アニメのヒロインの魅力は健在です
※
朝日新聞デジタルよりまぁひとまずそれは置いておきましょう。それ以外は満足かというと、この映画に何を求めに来たのか、
つまりは人によるとしか言いようがありません(>_<)だってこの若き堀越設計技師、夢想勝ちな少年がそのまま純真無垢に成長したかのごとく、会社や上司や同僚にも恵まれて夢に向かってまっしぐら。初めて任された七試艦戦の設計に失敗し、センチメンタルジャーニーに出かけた高原のホテルでは以前に出会った美しい少女と奇跡的に再会し、すぐにコクってそのままゴールイン。そこいらで堀辰雄の「風立ちぬ」になってきますので結末はああなっちゃうのですが、それにしても
この堀越技師の前向きパワーと(映画上では)ほいほいついてくるように見える成果はあまりにも非現実過ぎて、さすがに感情移入しにくいものがあります(-_-;)
…が、ハタと気づくわけです。ワタクシはいったいこの映画に何を求めて観に来たのかと。堀越技師が苦労して生み出した零戦が大空を縦横無尽に駆け巡り
敵機をばったばったと撃墜して、日本海軍が快進撃する映画を期待してきたんだっけ? あれ?(゜o゜)
考えてみなくてもそんな映画を宮崎駿監督が作るはずないじゃありませんか、ねー? でも本当言えば、前述の展開をあのジブリのファンタジックな絵柄で描いてくれるのを期待していたことをワタクシ否めません。なので、そもそも動機の部分で間違っていたわけですよ。しおしお〜。この映画はやはり宮崎アニメ、
やはりファンタジー映画なのです。そう切り替えると、あのラストはなかなか感動させてくれるものがありますねヽ(^。^)ノ
でも、じゃあどんな人がこの映画を観て楽しめるのかは、正直想像しにくいものがあります。大正から昭和初期にかけての風景や風俗(エッチじゃない意味の方ね)などは純粋に楽しめるので、
戦前生まれのご年配の方々とかかしら。ワタクシの世代は本来はターゲットのド真ん中のような気がしたんですけどね。ワタクシのようにたまたまこの時代の戦闘機の知識が無かったら、観ている間中チンプンカンプンかも。少なくとも子供たちが観に行ったら、始まって30分ももたずに
深い眠りにつくと思います(-_-)zzz
↑九試単座戦闘機1号機の美しい逆ガル翼、たまりません! 2号機から普通の翼になっちゃったけど。
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